『ジョブ理論』iPhoneの機能の想定外の使い方から学ぶイノベーション

『ジョブ理論ーイノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』を読んでいます。
こちらは、『イノベーションのジレンマ』クレイトン・M・クリステンセンの最新作です。

『ジョブ理論』を簡単にまとめてみた

クレイトン・M・クリステンセン氏といえば、ハーバード・ビジネス・スクールの教授で「破壊的イノベーション理論」の提唱者。
彼が新たに打ち立てたのが、「ジョブ理論」です。
運に頼ることなく、イノベーションを引き起こすための考え方について書かれています。

顧客が行いたいこと=「ジョブ」を中心に考えてマーケティング・商品開発をすることが、売れる製品を作り出し、イノベーションを引き起こす。
この場合の「ジョブ」は、日常生活で当たり前に行なっている「歯を磨く」「洗濯物をする」「掃除をする」などが該当します。

顧客の片付けるべき「ジョブ」が商品と合致すれば、顧客はその商品を繰り返し使用するようになる。
「ジョブ」と内容を合致させたブランドは、「ジョブ」が発生するたびに顧客の心に浮かぶ、強いブランド力を持つようになると述べています。顧客の目的はプロダクト/サービスの購入ではなく、自分自身の「進歩(プログレス)」であることにフォーカスすることで、「ジョブ」を見つけ出す。「ジョブ」を見つけるには、以下の5つの方法があると述べています。

  1. 生活の中の身近なジョブを探すこと。自分の生活を見直し、顧客の生活を観察すること。
  2. 顧客が何も雇用していない状態である「無消費」と競争すること。企業は市場シェアを奪い取ることだけに目がいきがちですが、まだ発掘されていない需要を見つける。
  3. 人々のやりくりや代替行動に着目すること。顧客が間に合わせの策で問題解決しているものはないかを見つけ、深く掘り下げる。
  4. 人々がやりたくないことに意識を向けること。人がやりたがらない「ジョブ」はイノベーションの卵であり、やりたくない「ジョブ」を避けるためなら、人はその商品に飛びつく。
  5. 商品が想定外の使われ方をしていないか観察すること。企業が想定していない使い方で顧客が使用していた場合、そこにはイノベーションのヒントが隠れている。

iPhoneのスピーチ機能の活用は「意外な使われ方」!

「ジョブ理論」を理解するために、一つ一つの事柄をなるべく身近な例に落とし込んでみています。
ジョブを見つけるための方法1番目でさらっと思いついたのは、花王から発売されている食器用洗剤「キュキュット クリア泡スプレー」でした。

これ、例えば水筒の底の方とか、ジューサーのパーツとか、スポンジではなかなか届かない部分の汚れにプシュッとかけて置いて、後から流せば綺麗になっちゃうというすぐれもの。
隅っこの汚れが気になって落としたい、というジョブを見事に解決してくれた商品でした。
次に5番目の想定外の使い方について、iPhoneの機能で説明したいのですが、実はこの商品にもそれがあるのですよね。
レビューを見ると出てきますので、よかったら読んでみてください。

さて、5番目、商品の想定外の使い方について。

私はiPhoneユーザーです。
去年くらいから、「スピーチ機能」を使ってkindleをiPhoneに読み上げてもらうことで耳で読書するようになりました。
耳で読書といえばオーディオブックなのでしょうけれど、私はスピーチ機能で十分!
こちらの記事に詳しく書きました。

隙間時間を活用!読書が捗る”スマホの読み上げ機能”で、まだ空いている「耳」を使おう!

iPhoneの場合、スピーチ機能は、「設定→一般→アクセシビリティ→スピーチ→画面の読み上げをON」という流れで設定します。

この機能、appleのWEBサイトでは「アクセシビリティ」の説明に以下のように書いてありました。

パーソナルなデバイスを、すべての人が使えるように。
世界で最もパーソナルなデバイスは、すべての人が使えるように設計されました。だから、視覚に障がいのある方がみんなとセルフィーを撮ることも、聴覚に障がいのある方がお母さんに国際電話をかけることも、首から下の体を動かせない方が友だちにテキストメッセージを送ることもできます。

apple公式WEBサイトより

もともとこの機能をつけた時は、ここに書かれているようなジョブを解決することが目的だったのですよね。
本来なら、私は使うことがない機能だったと思います。
開発した側からしたら、「意外な使われ方」に該当するのでしょうね。
でも今、この機能を使わない日はありません。

読み上げ機能には、ちょっとした問題があります。

  • 漢字の読み方がおかしい時がある
  • 図表や画像のところでいちいち止まる

まあでも、読み方登録するとか、洗い物中など本当に手を使えない時は図表のない本を選ぶ、などして解決しています。

そんなことどうでもいいと思うくらい、私にとっては便利で必要な機能になっています。
日本ではアメリカと比較して電子書籍は馴染まないだろうと言われていますが、読み上げ機能が浸透したら、それをひっくり返す可能性すらあるんじゃないの?とすら思います。
「意外な使われ方」の先には、大きなチャンスがあるなあと実感するところです。

ちょっと手強い理論も身近な例に落とし込むことで理解が進む

あー、ちょっと手強いな。
そんな本に出会った時は、どこが理解しづらいのかを切り分けて、身近な例に落とし込んで見る。
そうすると、あ、そういうことか!と腹落ちする瞬間が来ます。
これが気持ち良いのですよねー。

本を読み、理解するために自分と世界と対話する。
ブログは格好の対話の場になってくれますね。